キンモクセイの季節って実は一瞬で終わっちゃうんですよね⌬
だいたい長くても1週間ぐらいでピークはすぎちゃって、あとは冬を待つだけ…⌬
毎年のことだけど、ちょっと名残惜しいよねー。
ねぇ?金木犀の匂いをいつでも嗅ぎたいって時は、
花を摘んできてそれをなんかに漬けてとかじゃなんとかならないの?
たしかに浸漬や水蒸気蒸留などでフローラルウォーターを作ることもできますよ!
だけど、花が咲いた時のあの香りを再現したものを作るにはちょっと難しいかもです⌬
スズランの香りを紹介した時にも言ったけど、例えば水につけただけでは、匂いのする全ての成分は抽出ができません、、、⌬
色んなものを溶かす有機溶剤使っても、嫌な匂いの成分を多く抽出しちゃったり、有機溶剤の匂いそのものが問題になったり…⌬
じゃあ前回紹介してた論文で分析した成分そのままの割合で混ぜて作っちゃえば?
それでも実際に鼻で嗅いだ匂いとは差異がある例がかなり多くて…⌬
ほんの微量成分が実は「その香りだ!」と思える鍵を握っていたりする絶妙な世界の話になるので、分析して出てきた成分だけじゃ再現できないことの方が多いのです⌬
吸着剤が人の鼻と同じような仕組みにできれば良いのですが、まだまだ難しい現状ですね…⌬
なので人の鼻で何回も嗅いで同じような香りを作り出す、調香師の技術が必要不可欠です⌬ 実際には違う物質で構成されていても匂いを嗅いだ時はちゃんと金木犀の香りだ!ってなるはずです⌬
よく使われる原料を少し見ていきましょう⌬!
(また分子か…)
キンモクセイの香りによく使われる匂い分子
キンモクセイのかおりをよく嗅ぐと、最初は確かに甘い香りだと感じると思いますが、よくよく嗅いでみると、色んな所見が出るかなと思います。(例えば、桃の甘さだとか、スミレの香りに似ているなとか、ジャスミンのような香りにも似ているなとか?匂いの感じ方は人それぞれ、だから作るのは難しいとも言えるのでしょうね!)
(余談ですが、キンモクセイはモクセイ科の植物であり、実は香水の香りとしては最もメジャーな一角であるジャスミンと同じ科となります。少し似ているニュアンスがあるのはこのせいなのでしょうね?)
これらを総合的に組み合わせて調香師は匂いを形作っていきますが、どんな香りを組み合わせて作っていくのでしょうか?実際に見ていきたいと思います!(前回紹介した分子は当然入っているとして、今回は特徴的な合成香料についてほんの一部だけ見ていきましょう!)
ジヒドロジャスモン酸メチル(HEDIONE®︎)
本来はジャスミン系の香水なんかに多用される重要な香料ですね(名前にも”ジャスモン”って入ってるし)。ジャスミン以外にもFLORAL系の香料はめちゃめちゃ入ってます。
香りは非常に弱く優しくFATTYな FLORALあと若干のCITRUS感。
匂いがわかりずらい、わからないという方も多くいる原料ですが、それだけに溶剤のようにいっぱい使います。
構造はラクトンではありませんが、ラクトンのような優しい甘さを表現できるので天然には存在しませんが、キンモクセイの香りを構成するのに多用されています。
α-isomethyl ionone
WOODYで優雅なスミレやオリスのような香りで前回紹介したイオノンよりも炭素が一個増えた構造です。イソメチルイオノンは28もの異性体が考えられますが、この中では最も質が良いと言われます。
アルデヒド-C11ほど有名ではないですが、あのシャネルのNo.5にも使用されている成分でもあります。
Tetramethyl acetyloctahydronaphthalenes (ISO E SUPER®︎)
最強の香料の一角です(笑)。
ISO E SUPER®︎はIFF (International Flavors & Fragrances)社の商品名です。
実際、どんな香料とも調和が取れて使いやすい原料のようで、様々な製品に使われております。
香水やフレグランス製品は通常何十種類の香料分子を組み合わせて調香するのですが、この原料はなんと一種類の分子だけでも香水として販売されているというなんかすごい香料です。(もちろんそんな香水はやる気ゼロだとか、ユーザーを馬鹿にしているなどという冷めた意見もあります笑)
(私は仕事で嗅げるので遠慮しときます爆)
その香りは、一般的にはWOODY,AMBER感が感じられますが、TOPはそこまで強くないものの持続性、拡散性に優れるため、様々な香水に多用され世界中の調香師が愛してやまないのも頷けます。(だから上記のような香水を作ったんだろな?)
不思議なのがこの香料、各社で販売されているのですが、その全て香りの感じ方が違うように感じます。
同じ分子構造を目指して作っていても、副生物の違いだとかの影響で香気まで少し変わってしまうのですね。(なので調香師によってはあの会社のあの原料じゃないとダメだ!なんて人もいるそうですよ。)
この他にも数多くの香料が組み合わされて調香されているのはもちろんですが、キンモクセイの香りを掲げた香水はラストノートがWOODY系やAMBER、MUSK系となることが多いです。実際のキンモクセイの香気もよく嗅いだら、ラストノートにスミレのような FLORALの中にWOODY感を感じさせる香気ですので、それも頷けます。
長く語りすぎてしまったのでこれぐらいにしておきますね!
キンモクセイのフレグランス製品について
キンモクセイの香りを嗅ぐと、「落ち着く」「リラックスする」などのポジティブな意見のほかにもこんな意見が出てくると思います。よく聞く感想が「トイレの芳香剤の香りがする」です。
確かに1970年代から1990年代まではキンモクセイの香りはトイレの芳香剤の主流でした。
しかし、今では数多くの種類のルームフレグランスや、匂いに頼らない消臭技術が発達したおかげで、「キンモクセイの香り≠トイレの芳香剤」ではなくなりつつあります。
ちょっとTWITTERを使ってアンケートをとったところ
こんな感じで、25歳以上では半数以上がトイレの芳香剤のイメージがあると回答いただいたのに対して、25歳未満では約2/3がそうは思わないとご回答いただけました。
こんな感じで、今の世代ではこのイメージは払拭されつつある様子ですね!
回答していただいた皆様!ご協力ありがとうございました!
キンモクセイの香りの香水
少しだけキンモクセイの香りの香水を紹介します!
AUX PARADIS OSUMANTHUS
<秋季数量限定>Osmanthus〔オスマンサス〕
— AUX PARADIS (@AUXPARADIS) July 30, 2020
どこからともなく漂うノスタルジックな金木犀の温もりを感じる甘い芳香。
2020年8月20日(木)午前10時よりAUX PARADIS取り扱い全店舗、オンラインショップにて季節・数量限定発売#AUXPARADIS #オゥパラディ #Osmanthus #オスマンサス #金木犀 #キンモクセイ pic.twitter.com/oEiVJHmeB0
キンモクセイアブソリュート(中国 雲南省)
ジャスミンアブソリュート(インド)
イランイランエッセンシャルオイル(コモロ諸島)
ペッパーエッセンシャルオイル(マダガスカル)
〔トップノート〕マンダリンオレンジ、ベルガモット、グリーンノート
〔ミドルノート〕オスマンサス、ジャスミン、ゼラニウム
〔ラストノート〕ムスク、ローズ
ラストにISO E SUPER®や各種ムスク、サンダルウッドのような優しく甘いWOODYな香気も感じられ、正にかわいい女の子の香りと言っても差し支えない香気。ジャスミンやイランとのアコードもとれており、非常に良い香りです!お値段もお手頃なのでおすすめ香水の一つです!
また、Aux paradisの製品の中でも期間限定商品ですので、気になる方はお早めに!
公式サイト:https://www.auxparadis.com/products/210120.html
Memo inlé
2007年に Clara Molloyと夫のJohnによって立ち上げられた「Memo」は、香りを旅と見なし、自身が旅して身体で記憶した、驚き、感動、エネルギーなどを表現したフランスのフレグランスブランドです。
inléは、IFFの調香師AliénorMassenetの協力によって2007年に作成された香水です。
インレー湖を思わせる香りで、ベルガモット、オスマンサス、アイリス、アルテミシア、ミント、スパイス、ムスク、シダーウッドのアコードが特徴です。リナロール、リナリルアセテートの組み合わせによるアールグレイ(ベルガモット)のような紅茶の雰囲気も合わさり、非常に優雅な香りです。
〔トップノート〕アルモワーズ、ミント、ベルガモット
〔ミドルノート〕オスマンタス、ジャスミン、ティーリーフ、スパイス
〔ラストノート〕イリス、ムスク、シダーウッド
少々お高いですが、その香りには本当に感動すると思います。
Aux paradisのosumanthusと比べて嗅ぐと、Aux paradis osumanthusが強い甘さのキンモクセイ、inléがミント(とは言ってもメントールのようなスッとした香りではなくあくまでGREEN感)のほんのちょっとのスッキリ感によりギンモクセイの香りのイメージもありますね。(ふぇのーる主観)
女の子に例えるとAux paradis osumanthusが優しくてホンワカ系の女の子のイメージだとすると、優しくて包容力のある大人の女性のイメージにピッタリな香りです。
楽天市場なら2 mLのお試し用がありますので、機会があればぜひお試しください!(海外からの取り寄せで到着に2週間ぐらいかかりますが。。。)
そのほかの気になるキンモクセイの香水
オスマンサスの香りを緻密に計算した結果に生まれた、革新的な香り
日本の香水メーカーによるキンモクセイの再現!
花を着るというイメージで、強い香料を使わず、スッと消えていくようにデザインされた香水
sukinahi 和香水「三大香木シリーズ」10ml (金木犀)
昨年も即完売、大人気のshiroのキンモクセイ
shiro キンモクセイ
(在庫切れ 今年の再販は無いようです)
まだ出会っていないキンモクセイの香水も数多くありますので、今後実際に嗅いでレビューしていきたいですね⌬!
shiro のキンモクセイはあっという間に売り切れちゃったみたいなのでまた来年…。すごい人気っぽいから気になるよねー。
気づけば売り切れてる感がありますので嗅げたらなんか書きますねー…⌬
ともかくこんなに種類があれば、いろんな香りを試せるね。
秋やキンモクセイの季節が終わってからでも香りを楽しめるのはうれしいね。
ではまたー⌬
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