臭気の質って、簡単な表現では「臭い」「いい香り」に大別できますが、その表現をすることは学習(幼い頃からの経験)や評価法の訓練を行うことで鍛えられます。
臭気は人間の鼻で知覚されることによって初めて意味を持つため、分析機器で値が出たからといって、実際の人が感じる匂いでは無いためそれは完全には意味のあるものではありません。
今回は、そんなにおいの分類や評価法について勉強していきましょう!
冒頭からちょっと難しいこと言ってる感じですが、臭気判定士は悪臭を正しく評価する方法について知っておくべきで、人の鼻が不快だと思ったものに関しては分析機器の値がどーたらこーたらというのではなく、ちゃんと人の鼻で評価しようということだね⌬
実際に臭気判定士の主業務の臭気指数も機器ではなく人の鼻で行いますしそのにおいの強さも尺度があります⌬
臭気測定機器とかで値が出たらとりあえず臭くて値が出なかったら臭く無いじゃダメなん?
測定機器は、例えばアンモニア1物質のみを測定するとか限定的なことしかできないことも多いので、人の鼻で感じる全ての匂いを評価するのはやっぱり人の鼻じゃなきゃダメなんだよ⌬
それに悪臭物質によってはpptオーダー(プールに一滴レベル)で悪臭と感じてしてしまうものもあるから、機器の検出限界を下回ってしまうこともあるよ⌬
人の鼻すごー♡
におい強度の表現方法
生ゴミ様の強烈な腐敗臭だとか、綿アメの様な微かな甘い香りだとか様々な言葉で表せますが、この様な評価を紐解くと、においの表現は強度と質で表すことができます。
この様な表現をするためには、においの記憶が重要な鍵を握っており、記憶を元に、
その表現するにおいに対して符号化を行っているともいえます。
においのプロである調香師はにおいの感覚的な記憶と、それを連想する言語を用い、メモすることなどによって、におい記憶を顕在化し調香を行うことができます。
しかしながら巧みな言語でにおい物質を記憶する調香師であってもその連想する言葉は幼少期の経験や学習、生活習慣などによって編み出された言語であるため、他人と共有し通用することは難しいのです。
この様に、においの質を共有することは難しいのですが、一般に臭気の質や強度を数量的に表す評価方法がいくつかありますので紹介します。
9段階快・不快表示法と5段階の生活環境不快度
人間の鼻は機械とは違い、そのにおいが快いものか不快なものであるかの判断は訓練を受けていなくても感覚的にわかります。
9段階快・不快表示法は臭気の質を数量的に表すことができる方法として一般的に用いられる方法で、極端に不快(-4)から極端に快(+4)までの9段階でパネルに評価してもらう方法です。
しかし、短時間に一時的に嗅いだものでも、長期間・長時間嗅いだものではその評価が異なることもあります。例えば、同じ芳香剤をずっと嗅いでいたいですか?
こんな場合は5段階の生活環境不快度も提案されており、規制に取り入れている自治体も出てきているそうです。
臭気濃度表示法(広範性表示法)
臭気の濃度と言っても臭気には様々な物質が複雑に関与しているため、単なる物質の濃度を表すのではなく、「無臭正常な空気を用いて希釈したとき、無臭に至るまでに要した希釈倍率」を持って表せられる一つの単位として定義されています。
評価のためには、実際に臭気試料を袋に詰めて評価する、三天比較式臭袋法などを用います。
算出された臭気濃度はウェーバー・フェヒナーの法則に従い、その得られた濃度の対数を10倍した値=臭気指数を元に悪臭規制を行なっています。
変換式で表すと、
N=10×log10S
N:臭気指数 S:臭気濃度
となります。いきなり何言ってるかわからないかもしれませんが、ちょっと例を出してみます。
そこで100倍、1000倍と臭気を薄めていったところ、ようやく10000倍の希釈で臭いが分からなくなった(不正解となった)。
臭気強度表示法
においの強さを数値化したものです。
臭気濃度表示法は臭気濃度では測定が難しい低濃度(臭気指数10未満の様な)の臭気(環境測定)などによく用いられます。パネル(判定者)は現場に赴くか試料採取袋から匂いを嗅ぎ、官能評価を行います。官能評価は、熟練差などが生まれない様に、決められた尺度を用いて評価します。
6段階臭気強度表示法
この臭気強度表示法は悪臭防止法において、規制基準を定めるための基本的考え方とし
て用いられており、臭気強度2.5-3.5に対応する物質濃度と臭気指数(においを定められた方法で人間の嗅覚を用いて測定するもの)が敷地境界線の規制基準の範囲として定められています。(臭気強度 2.5~3.5 に相当する敷地境界における臭気指数は 10~21 とされています。)
目安としては、3を超えてくるあたりから苦情が出始めます。
Total intensity of aroma(TIA)尺度
日本においては上記の6段会臭気強度表示法が広く使われますが、アメリカなどではより簡易な尺度として、4段階の尺度が多く使われます。簡易的なのでわざと使う場面もあります。
参考:https://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/list/h16/02_c_2_3.pdf
上記山岳トイレの消臭技術の報告では、0:無臭、1:わずかに臭う、2:はっきり臭う、3:強く臭うの4段階で処理性能の検討を報告しております。
調査対象に割り振った変数、その測定、あるいはそれにより得られたデータを、それらが表現する情報の性質に基づき数学・統計学的に分類する基準です。(wiki)
尺度にも様々な尺度のレベルがあります。
臭気強度表示法の様な尺度は、大小にしか意味を持たないので順序尺度と言えます。
ちなみにウェーバーフェヒナーの法則で出てきたマグニチュード推定法は比例尺度(比率尺度とも言われます)です。
ビジュアル・アナログ尺度(VAS)
Visual analog scale(VAS)は一定の長さの直線上に刺激量の大きさを表現できる尺度で、元々は医療分野で痛みの強さを表すのに使われてきた尺度です。
右端に0、左端に任意の数値(5,10や100)などの数値をつけることもあります。
利点としては、直線状の長さを図ることにより、数値処理が可能となり、明確に数値を回答しなくとも、平均値の算出などの統計量の扱いができるため、正にビジュアル(目視化)、アナログ(連続表示)ができる尺度です。
長さを大きさとして表示できるので、尺度の捉え方としては間隔尺度上にあると考えられます。
においの質の表現方法
匂いの質を表現する用語としては様々なものがありますが、言葉で表現し、他人と共有するのは困難が伴います。
調香師ですら、個人によっての単品香料の匂いをメモを取り香りを覚えることを行っています。(もちろん調香の学校や社内教育などである程度の言語の統一は行っていますが、それだけでは不十分なのが現状です。)
同一の匂いでも受け取る側の個体条件(性別、年齢、職業、文化の違い、好きな匂い嫌いな臭い)や環境条件(時間、天候、場所)によって心理的な受け止め方は千差万別です。
現在の基礎教育で音楽の様に匂いに関する統一した表現の言語望むべくも無いのが現状です。
しかし、現状ではある程度備わっている匂いに対する言語から、無秩序に組み合わせて表現しています。
こんな感じの用語から組み合わせて
ローズ調の温かみのあるスパイシーさのある香り!だとか
卵が腐った様な鼻を突くムカつく臭い!だとか無意識に組み合わせて使ってることもあるよ!
そういや昨日のフェノールは二日酔いの様なアルコール臭のムカつく臭いだったな
そういう日もあるじゃん許してよ・・・⌬rz
実際に試験に多く問われるのは臭い強度の表現方法が圧倒的に多いですので重点的に抑えておきましょう。
まとめと復習
快・不快度は人の鼻?機械の測定結果?どっちを使いました?
・6段階臭気強度表示法(1は検知閾値、2は弁別閾値)などを抑える
敷地境界線の規制の範囲ってどこからどこまで?
・6段階臭気強度表示法の簡易バージョン(TIA尺度)もあるよ!
・上記の表示法は順序尺度(尺度の概念も抑えておこう)
順序尺度ってなに?
・VAS尺度は視覚的に段階表示できる(これは間隔尺度)
どんなことに利点がある尺度でした?
もうすぐ、第一科目に目処がつきそうなので、そろそろ過去問も交えての解説も準備できたらと思います!今後ともよろしくお願いします〜!
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