我々人間は食べ物を食べるにあたっては、香り・見た目・色・味・食感(テクスチャ)を総合的に判断して美味しい、不味いあるいは腐っているの判断を行いますが、その上でのにおいの役割とはどの様な働きをするんでしょうね?
我々がにおいを嗅ぐ際どんなことを感じ取るのかにおいを嗅いで何がわかるのかを今回は勉強していきましょう!
冷蔵庫に入ってた牛乳、賞味期限だいぶ切れてたから捨てたよ
におい嗅いでみた?
腐ってるって分かってる物わざわざ嗅がないし、大丈夫だったら飲む気だったの?放置してたのが悪いんじゃないんか?おい?
ごめんなさい…⌬
においの嗜好
我々は日本人ですが、今は日本料理はもちろんのこと中華、フレンチ、イタリア料理など様々な食文化に触れ合えるので、食の嗜好は世界で差があまりなくなっている様に思えてきますが、よく考えてみると日本国内でも地域差は存在しております。
においの嗜好はこの様な地域差だけでなく、千差万別・十人十色に違うものです。
わぁい納豆ふぇのーる納豆大好き⌬
確かに日本人でも苦手な人苦手だもんね
欧米文化が流入する前は、今では当たり前に食べられているバターやチーズなんかも数世代前の日本人からは嫌がられていたらしいです⌬
バタ臭いなんて言葉もあるから相当嫌がられたかもね
最近は聞かないけど。
そこがポイント!食物やにおいの嗜好は時代背景や年齢、文化や地域によっても左右される事を頭に入れておこう⌬
有名な例を挙げます。
・バナナやクローブ・ムスク・ローズなどの匂いをアメリカ人とインド人に嗅がせたときに、「これを食べたいと思うか」との問いに対して、
・ムスクはアメリカ人もインド人も食べたいと思わない
・バナナ、クローブは両方とも食欲をそそられる
・ローズはインド人のみ有意に食べたいと思う
との結果になりました。
出典:第6回高砂香料シンポジウムにおいての、モネル・ケミカルセンス・センターA.N.Gilberの報告(昭和63年5月18日)
インドでは、ローズウォーターなどを菓子等に混ぜる習慣があったそうです。
最近ではローズ香るソフトキャンディなどの商品も出ているので現在で同じ実験を行ったら少し違う結果になりそうですね。
においの役割と嗜好
さて冒頭に納豆の話題を出しましたが、納豆は菌によって醸された食べ物で食べることができるから「発酵」な訳なのですが、これが食べられないものだと、こちらは「腐敗」になります。
昔から食べられてきたので日本人に愛される食品なのですが、これが文化圏が違えば到底受け付けることができない食べ物となるのです⌬
ではなぜ受け付けられないのでしょうか?
人間でも他の動物でも、危険を回避するために五感は使われます。例えば…
・危険なものを目で見て避けることができる「視覚」
・音で外敵が近づいてきたことを理解できる「聴覚」
があります。これらの感覚は、物理的な信号(光・熱・振動)を感覚として捉え、外敵や危険から身を守ることができる物理的感覚と言われます。
・味で腐っているものや毒が含まれるものを知ることができる「味覚」
これらは化学物質を体内の電気的な信号に変換し、感覚として捉える化学的感覚と言われます。
さらに細かく説明すると、刺激源から刺激物質の分子が空中を伝播してきて動物に応答を起こさせる遠隔化学感覚を嗅覚,刺激物が直接動物に接触したときに動物に応答を起こさせる接触化学感覚のうち摂食に関係するものを味覚といいます。
嗅覚や味覚は、物理的刺激ではなく、化学物質が体に入り込み初めて応答する感覚ですので、危険なものや安全なものを判断する感覚として非常に重要です。
つまり納豆は、文化的に食されていない人たちからすると腐っている危険なものと判断されてしまうのです。
一般的なにおい嗜好と嗅覚・味覚の関係は本能的に以下の様になっています。
②学習効果によって危険を感知させるにおいであっても好まれるにおいに変わることはありうる(納豆の例)
③初めて嗅ぐにおい・味はまず拒否する。(安全と認知する匂いでないと口に入れないー好きにはならない)
④食物のにおい嗜好には幼少期からの食習慣や食体験という学習効果が最も大きな影響を与えている。
⑤外部情報・社会的な学習効果も嗜好には影響する。
嗅覚や味覚の役割を使った応用例
人間やその他の生物では危険なものを判断する際に五感を使うことを知っていただいたと思います⌬
しかしながら本来危険ではあるものの人間では感じられない危険を判断させるためにいくつかの工夫があります。一例を紹介しましょう。
都市ガスやプロパンガスの例
都市ガスやプロパンガスは本来匂いが無いため人間には感じられません。
しかし、ガス漏れを起こした時には硫黄の様な非常に臭いにおいが放出されます。
こちらは、ガス中にほんの少し嗅覚閾値が非常に低い=感度が高い付臭材(ターシャリーブチルメルカプタンやジメチルスルフィド等)が添加されており、少しでも漏れたらすぐに漏れた!と気付く様な仕組みができています。
子供用のおもちゃの例
乳幼児などの赤ちゃんは、なんでも口にものを入れたがる本能があるため、口に入るほどの大きさのおもちゃなどの異物が詰まってしまったら死亡事故にも繋がりかねません。
このため、多くのおもちゃではわざと食品添加物として認可されながら、ギネスブックに乗るほどの苦味物質である安息香酸デナトニウムをわざわざ塗布して販売されています。
まとめ
・一般的に危険を感知するにおい(焦げ臭・腐敗臭)は嗅覚閾値が低い=感度が高い
・嗅覚と味覚は五感の中でも化学物質を電気的に変換する化学感覚である
・嗅覚閾値の低さを利用した安全対策が施された製品の例がある
こんなところを抑えておけばいいかな⌬?
それにしても本能的な嗅覚や味覚の役割を応用して安全を確保するために使用するアイデアは本当にすごいね⌬!
ふぇのーるが放置した牛乳も賞味期限が切れたら突然ゲロ不味くなればいいのにね。
もう本当にすみません…⌬
出典:嗅覚と匂い物質 川崎通昭・堀内哲嗣郎 共著
匂い物質の特性と分析・評価 川崎通昭・中島基貴・外池光雄 編著
コメント