口臭発生の秘密 その原因物質と口の中で起こっていること

香り

毎度お馴染み流浪のブログ、fukublogです。 

Mr.Phenol
Mr.Phenol

そして国家資格関係とアロマを担当しているMr.Phenolです。

今回はいい香りの話ではなく、臭気判定士的な視点から超身近ないやーな匂い、口臭について話してみようと思います。

芳香ちゃん
芳香ちゃん

いつかコロナ禍が収束して、マスクを取って人と話したときに口が臭かったなんて思われてたら嫌だから、常日頃からケアはしておきたいよね。

てかふぇのーる口クッサ!!

Mr.Phenol
Mr.Phenol

てことで今回は口臭の原因物質とどんな原因で口が臭ってしまうのかちょっと見てみましょう!

口臭って?

どんな綺麗な人だってカッコいい人だって、生きている人たちは誰しも口の中に匂いを持っているハズです。

今回話す「口臭」を「口から発せられ不快感のあるにおい」であると定義すると、口臭は「不快感のある物質」を口から発していることになります。つまり、呼気に乗って不快臭のする物質を感じ取ってしまうと口臭があるということになります。

口臭を訴える人は病院に行くと、「口臭症」と診断される様です。

それは他人が感じてしまう本物の口臭である「他臭症」と、実は自分だけが感じているだけのいわゆる思い込みである「自臭症」に分類されます。

今回は、本当に臭い匂いを発している口臭についてみていきます。

口臭の原因物質

そして口臭成分は大きく分けて窒素化合物、硫黄化合物、脂肪酸系化合物、ケトン、アルデヒドに分けることができます。

主な原因物質と匂いの質をみてみましょう。

これらの口臭原因物質は単に食べ物を食べるだけではなく、我々自身の代謝や我々の体に住みついて生きている微生物の代謝により生まれます。(もちろんにんにくやタバコなどそのものが臭いにおいを発しているものもあります。)

具体的にどの様に悪臭物質が作られるか見てみましょうね。

口臭原因物質の発生方法は?

人が生きている限り必ず口臭は発生します。どの様に匂いの原因となる物質が産生されるか簡単な化学反応から見てみましょう。

窒素化合物・硫黄化合物の場合

メチオニンの分解例

簡単な例としてメチオニンを用意しました。図の矢印は細菌などによって体の中で分解される様子であると理解していただければいいと思います。

この分解反応だけで、ジメチルジスルフィドやメルカプタン等の非常に強い含硫物質アンモニアが生成されます。さらにアミノ酸の一つトリプトファンの分解では強い糞臭を持つインドールも生成されます。

アミノ酸の分解だけで、強烈な悪臭物質が出来てしまうことがわかりました。

脂肪酸の場合

一方低級脂肪酸の悪臭物質はどの様に作られるのでしょうか?

低級脂肪酸の悪臭物質の生成

微生物の嫌気性解糖やその他の代謝経路のほんの一例を図示してみました。

なんとお砂糖の成分でもある、グルコースやアミノ酸から腐ったバターの様な匂いの酪酸や、強烈な蒸れた靴下の匂いを持つイソ吉草酸が生まれてしまいます。

朝の目覚めの口の中の少し獣の様な匂いを感じたら口の中でこの様な物質が作られているかもしれませんね。

また、油脂や脂肪の分解からも当然この様な低級脂肪酸も生成されてしまいます。

つまり、タンパク質・炭水化物・脂肪全ての体に必須の栄養から悪臭物質は作られてしまうことが確認出来ました。

ではこの様な悪臭物質は体のどの部位で出来てしまうのでしょうか?

原因が口の中(口腔内)の場合

歯垢

口臭が強烈な場合にまず疑われるのは、適切な歯磨きが出来ていない場合ですね。歯垢は上記の物質を生成してしまう細菌の塊ですので、歯垢がある場合は当然臭くなってしまうでしょう。

しかし、とある実験で被験者29名の協力を得て、2週間歯磨きを停止して、その前後の歯垢付着スコア、歯肉炎指数、メチルメルカプタン生産能とアンモニア生産能を測定したところ、アンモニアの生産能は思考の付着とともに増加しているにもかかわらず、なんと硫黄臭のするメチルメルカプタンの生産能はそこまで変化していないというデータを得ています。

歯磨きの有無での口臭比較

梅本俊夫: 呼気生化学-測定とその意義 小橋恭一著 メディカルビュー社(1998)より

つまり、歯垢の中に住んでいる細菌は硫黄臭さではなく、窒素系の生臭い匂いを作るのが得意な様ですね。

歯周病などの疾患がある場合

歯周病などで、歯周ポケットが進行した場合、嫌気性細菌(空気が嫌いで空気があると増殖しにくくなる細菌)が増殖してしまいます。

歯周病による口臭

歯周病が進行すると出血が起こったり、上皮の剥離が起こったりするため、それらを栄養とする細菌が増殖してさらに歯周病の悪化を招きます。

この歯周病による口臭の場合は、自分で清掃することが難しくなるため、歯科医師による治療を受けないと歯周病も口臭も改善しません。

また、口内炎などの疾患で増殖した細菌の代謝産物でも悪臭の原因となることがあります。

補綴物(詰め物、入れ歯)

こちらの場合も清掃が困難な場合には、歯周病と同じで、嫌気性のタンパク質等分解性の歯垢の温床となるため、治療が必要です。

舌苔

舌には様々なものが付着し苔状に見えることがあり、これを舌苔といいます。

舌苔

細菌、食べかす、口腔粘膜の剥がれた上皮などが舌に付着した集合体で構成されています。誰でも白っぽいものが少し付着してはいますが、体調が悪くなるなどすると、堆積し、変色したり分厚くなることがあります。ここにも大量の悪臭の原因となる細菌が住んでいますので、定期的な清掃が必要です。

口の中の臭いはどうしたらいいの?

今回は呼気ではなく、口の中だけの話なので、本日紹介する方法がだめならば、肺や胃から上がってくる匂いのせいで口臭が発生していると考えられます。

口臭対策

口の中だけならば、適切な歯磨きを行うことで口腔内の細菌と食べ物の残りカスを除去してあげることが1番の解決策です。

また、舌苔は健康な人の口臭では1番の原因とされています。

しかしながら良いといってガシガシと舌磨きを行うと、かえって舌を傷つけてしまうため、味を感じる味蕾を傷つけてしまったり、出血や剥離した上皮を栄養にした細菌の増殖を招いてしまう可能性も考えられます。

LION株式会社のホームページに舌磨きのやり方が丁寧に記載されていましたので、これを参考に行うと良いでしょう。

Lidea:舌みがきで口臭予防!正しい舌苔の取り方7つのポイント

また、口の中が乾燥することは、口内細菌を押し流せずに留まり、そこで口臭物質を出してしまうため、唾液の分泌を促すという対策もあります。

カワモト産業(株):「お口の乾きについて」

口臭が気になるなと気づいた時には、口の中で舌をモゴモゴモゴモゴと動かしながら揺することで口内の細菌を呑み込んでそこに留まらせない運動をすると良いでしょう。

最後に、歯周病や補綴物、その他疾患の場合かな?と思ったらそれはもう
歯科医師に相談するしかありません。気になる場合はすぐにGOです!

芳香ちゃん
芳香ちゃん

とりあえず歯磨きと舌苔除去してたけど、

まだ臭いよ?どしたん?

Mr.Phenol
Mr.Phenol

昨日お酒飲み過ぎちゃったかも?この場合は口よりもさらに奥に原因がありそうだね⌬?呼気の場合のお話はまた次回話すよ!

 

参考文献:谷田貝光克・川崎通昭:香りと環境アロマサイエンスシリーズ21 ④
    角田正健:デンタルマガジン105,32-41(2002)
               梅本俊夫: 呼気生化学-測定とその意義 小橋恭一著 メディカルビュー社(1998)
          https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/kenko-bijuku/omoikomi/27/
                                http://www.meiwakai.or.jp/n_sika/archive/sika/1601

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