前回は嗅覚の特徴として、順応や慣れについて勉強しましたが、嗅覚にはまだまだ、知られざる特徴があるのです⌬
順応って言葉は感覚的にわかってきたけど、交叉順応だとか慣れだとか言葉の感じがちょっと難しかったね。てかまだあるの?
あとちょっとだけなので我慢して聞いてね⌬
・嗅盲と嗅覚脱失
・T&Tオルファクトメーターの役割
・嗅盲と嗅覚脱失の違いを抑えよう
・T&Tオルファクトメーターの役割とどんなところで行われるかを紹介
嗅覚の促進
順応に比べて稀ですが、あるにおい物質を嗅いていると、他の特定のにおい物質の感度が上昇する場合があります。このことを促進効果と言います。
芳香ちゃんはそんな経験したことありますか⌬?
スイカを食べるときに少し塩をかけるともっと甘く感じるやつ?
それは味覚の対比効果と呼ばれる現象ですねぇ⌬
塩味は甘味を増強させる効果がありますね。
匂いの分野ではあまり研究が進んでいませんが、オクタノールの匂いに順応しているとエタノールやプロパノールの匂いに敏感になるそうですよ⌬
そんなん普段経験しないぞー
嗅盲
ある特定の色を感じない人を色盲という様に、嗅覚にもある特定の匂いを感じないことがあります。このことを嗅盲と言います。
歴史的にはシアン化水素ガスの匂いを感じない人がいることから嗅盲の存在が分かったそうです。一部の匂いの感覚が欠損しているため特異的無嗅覚症とも呼ばれます。
嗅盲は、あるにおいのみ感じない現象で、実は3人に1人は何かしらのにおいに対して匂いを感じないとまで言われています。
上記のシアン化水素に関しては文献によって異なりますが概ね10%〜40%の人が匂いを感じないそうですよ⌬
珍しいものじゃないんだね
他にも体臭関連物質のアンドロステノールやムスクの香りを感じない例も多く存在します⌬
以前のお話で、ヒトには約400種類のにおい分子受容体が存在するってことは頭に入っているかとは思いますが、このうちの一部の受容体が遺伝子変異により発現しないと嗅盲が生じると推測されています。
嗅覚脱失
嗅覚脱失は嗅盲と異なり、完全に嗅覚を失った状態のことと定義されています。
嗅覚脱失は
①鼻腔内の腫脹または他の閉塞が匂いの嗅覚野への伝達を妨げる場合
②嗅上皮が破壊された場合
③嗅糸,嗅球,嗅索,もしくは中枢との連絡が破壊された場合
に起こるとされております。
現在猛威をふるっているコロナウイルスでは味覚や嗅覚が感じられなくなるという症状が散見されていますが、これはウィルスがノドよりも鼻腔粘膜や嗅上皮に検出率が高いことと関係があると推測されています。
インフルエンザやライノウイルスでもこの様な症状が起こることがあるみたいですよ。
え、ウイルスが嗅覚を司る部分を破壊しちゃうってこと?
これ治るの?
日本耳鼻咽喉科学会のインフォメーションによるとウイルスによる嗅覚・味覚障害の治療は急ぐ必要なく、自然に治ることも多いのでしばらく様子を見ましょうとのことなので、過度に心配することはなさそうですが、もし罹患してしばらく経っても味覚嗅覚が元に戻らなければ病院で見てもらった方が良いと思います⌬
ふぇのーる医者じゃないので適当なことは言えません…⌬
出典:http://www.jibika.or.jp/citizens/covid19/mikaku.html
T&Tオルファクトメーター法
すでにT&Tオルファクトメーター法の内容は第一回の講座でお話し済みですので、割愛します。
嗅覚の感度に対する検査の手法は、悪臭公害の分野だけでなく、臨床的な方面からも嗅覚能力の検査の必要性が昔から訴えられてきておりました。
T&Tオルファクトメーター法は1971年から悪臭公害の観点から文部省科研費の交付を受け、金沢大学の豊田文一氏が、嗅覚障害等医療の方面において厚生省の医療研究助成補助金を得て群馬大学の高木貞敬氏をリーダーとして研究が進められました。
研究内容は、基準臭の選定、濃度設定、検査方法の手順を進めていき、1978年11月にこれを嗅覚検査診断薬とする承認申請が厚生省へ高砂香料工業(株)によってなされ、1982年に承認されました。
この基準臭ができたことで、臨床的には事故や脳障害や今回の問題になってるウイルスによる嗅覚の異常の障害度も客観的に診断でき、
公害や悪臭の分野においては、官能検査を行う人たち(パネラー)が正常な嗅覚を有しているかを判断する指標となりました⌬
それまでは視覚検査や聴覚検査の様な世界で統一された様な検査は嗅覚ではなかったんだね…。
患者さんが、あの匂いが分からないとかそういうことを尋ねる、問診ぐらいしか判断できなかったんじゃないかな??
ともあれこの検査は、臨床で使う様なものなのであくまで、正常な嗅覚を有しているということを見るものなので、「臭気判定士」の嗅覚検査の難易度としては実は難しいものじゃないだよ⌬
とは言っても緊張はしそうね?ふぇのーるはどんな感じだった?
普通の会社が試験会場?でお兄さんに案内されて、会議室的なところに連れられて検査をしました⌬
1対1だったから緊張する人はしちゃうかも?
会議室でやっていいの?
一応
①においを感じない場所
②人の出入りが少ない静かな場所
③湿度温度に問題がない場所
その他パネルが落ち着ける場所
の条件を満たした室内なら認められているのでOK!
基準があるんだね。また今度詳しく聴くわ!
まとめ
・嗅覚脱失は全部なくなっちゃうこと
・T&Tオルファクトメーターは嗅覚異常の診断にも用いられる
嗅覚は他の五感にもある様に、実はいろんな人で感じ方が異なると言われています。
次回は個体差や性差についても見ていきましょう!
Mr.Phenolでした。
出典:嗅覚と匂い物質 川崎通昭・堀内哲嗣郎 共著
匂い物質の特性と分析・評価 川崎通昭・中島基貴・外池光雄 編著
余談ですけどYoutubeチャンネル作ってみました⌬
ここにブログの内容や香りにまつわる雑談や雑学をおこうかなと計画していますが、ちょっと準備中です笑
代わりとはなんですが趣味のギターを弾いた動画しかないお粗末さですが、もしよかったら優しい方…チャンネル登録お願いいたします💦
(動画もないのにチャンネル登録しろとはこれいかに…⌬)
気長にお待ちくださいます様よろしくお願いいたします⌬!
コメント
今年度の臭気判定士の試験を受ける予定です。
こちらのブログ、とても参考になります。続きを楽しみにしています!
コメントありがとうございます!
ブログをご覧になってくれる方がいて非常にうれしい限りです!
見てくださる方が増えると私も非常に励みになりますので、
もしよろしければ拡めていただけるとと非常に助かります⌬!(笑)
これからもよろしくお願いいたします⌬!