臭気判定士 嗅覚概論⑤ 嗅覚の特徴と匂いの感じ方①

臭気判定士 嗅覚概論 5 臭気判定士
Mr.Phenol
Mr.Phenol

どうも!Mr.Phenolです⌬

人間の感覚の中で、嗅覚と味覚は化学感覚と言われており、化学物質を受容することから刺激が伝わる感覚です⌬

Mr.Phenol
Mr.Phenol

特に嗅覚は、動物では敵味方を判断することや、危険をいち早く察知するために、生存するために必須の感覚なんですね⌬

芳香ちゃん
芳香ちゃん

人間は嗅覚や味覚を美味しいとか不味いとかずいぶん贅沢に使ってる様に感じるけど、そんなに大事なの?

Mr.Phenol
Mr.Phenol

人間だって嗅覚や味覚は、腐ってるものだとか危険なものを感知できるので非常に重要ですよ!それに、嗅覚は口に入れてしまう前から、遠隔的に匂いを察知できるのでより早い安全確認が可能です。

そんな嗅覚にも様々な特徴があるので一緒に学びましょう⌬!

・嗅覚の順応の特徴
・順応と慣れの違い
・順応の種類
・嗅覚の順応の性質について理解しよう
・順応と慣れの意味合いの違いを理解しよう
・主に2タイプの順応があるよ!

嗅覚の順応

Mr.Phenol
Mr.Phenol

同じ匂いをずっと嗅いでいると匂いの感じ方が変わってしまうこがあります。日常の中ではトイレなんかで大をしているとだんだん自分の出した匂いに対しては感じ方が弱くなるはずです。

口臭とかを自分では気づかないのもそうですね。

芳香ちゃん
芳香ちゃん

いきなり汚い例え方するなぁ…。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

いわゆる鼻がバカになったと言われる現象ですね。

この現象を嗅覚の順応と言います⌬

嗅覚の順応とは、一回持続したにおい刺激に対する感覚強度の低下であって、その関与する器官は抹消の嗅細胞であり、その嗅細胞からのインパルス発生の減少が起こることによって発生すると伝統的に説明されますが、実際の順応の仕組みは未だに完全には解明されておりません。

一般に嗅覚順応は嗅覚神経内で起こる現象だと考えられていますが、比較的新しい順応に関する報告では、介在神経の機能が必須であるという、つまり匂い情報が神経回路レベルで処理されているという報告もあります。

また、順応過程には嗅細胞外のCa+2が不可欠で、膜のチャンネルを通って細胞内に流入したCa+2が透過性を不活性化すると論じている論文もあり、その結果、神経インパルスの頻度は次第に減少してゆくと説明されます。

出典:http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~bunsiide/project4.html
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj1979/32/3/32_3_240/_pdf/-char/ja

Mr.Phenol
Mr.Phenol

嗅細胞に関するお話は以前の 臭気判定士対策講座② をお読みください!

芳香ちゃん
芳香ちゃん

質問!

におい物質によって順応の違いってあるの?

Mr.Phenol
Mr.Phenol

におい物質によって、順応するスピードが違うことは報告されているよ、(Berglund, B., Berglund, U., Lindvall, T. : Olfactory selfand cross-adaptation : effects of time of adaptation on perceived odor intensity. Sensory Processes, 2, 191-197, (1978).

この実験では、硫化水素とジメチルスルフィドとピリジンで順応速度が異なることが示されていますね⌬

また、高島靖弘氏の研究では、最初の嗅覚強度を100として、10秒ごとにどのぐらいに感じたかの試験を行ったところ、イソ吉草酸とフェニルエチルアルコールでは異なる結果が提示されているよ。図を見てみよう。

順応グラフ

 

 

 

 

 

    引用:高島靖弘:日本官能評価学会誌(1997),1(1),p.10.

芳香ちゃん
芳香ちゃん

いきなり長いこと喋るなや。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

いつまでも臭いと感じちゃうにおいは順応スピードが遅い物質ってことになるね。このグラフからは、強烈な臭いはずのイソ吉草酸のほうが慣れるのが早いことがわかるね。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

また、順応は嗅覚だけの反応じゃないことも抑えておこうね!

芳香ちゃん
芳香ちゃん

昔、自動車学校でトンネルを抜けると最初は眩しいけれどだんだん目が慣れてくるのを明順応っていうって習った気がする。逆は暗順応だっけ?確かに他の五感にもあるんだね。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

昔って芳香ちゃん一体何歳なんや…。

芳香ちゃん
芳香ちゃん

お?なんだ文句あるか?

Mr.Phenol
Mr.Phenol

(なんで制服着てるの…)

慣れ・嗅覚疲労

芳香ちゃん
芳香ちゃん

「慣れ」は色々な場面で使われるワードだけど、嗅覚においては順応と慣れって同じじゃないの?

Mr.Phenol
Mr.Phenol

嗅覚において「慣れ」は神経や細胞がどーたらこうたら抜きにして、心理的なものを含めて「慣れ」と言います。つまり、脳と脊髄などの中枢でその匂いに対して鈍感になってしまう現象です⌬

芳香ちゃん
芳香ちゃん

同じ感覚の低下でもアプローチが違うのね

Mr.Phenol
Mr.Phenol

漁村で生まれた漁師の方は魚の匂いなんて気にしてたら仕事にならないですもんね。つまり、受容体では感知していてもその匂いが意識として感知されていない状況とも言えます⌬

芳香ちゃん
芳香ちゃん

国道1号線のそいに住んでたら夜のトラックとかバイクの音とか気にしないで寝れるもんねー。そういうもんか⭐︎

Mr.Phenol
Mr.Phenol

(それは人によるだろうけど。)芳香ちゃんはそうだね…。

他によく出てくる言葉としては嗅覚の疲労があります。この言葉は人によって用いられ方が異なる場合があり、順応と同じ意味で用いる人もいる一方、嗅覚の順応が一回の持続的におい刺激に対して起こる嗅覚の低下をさすのに対し、疲労は断続的におい刺激に対して起こる嗅覚の低下を指すことがあります。

この場合の疲労とは慣れとほぼ同じ意味で用いられることになります。

(この場合の生理的メカニズム例えば抹消だけなのか、中枢だけの現象なのかあるいは両方なのか触れられた記述はほとんど見当たらないそうです。)なのであまり試験には出題されません。

・受容体、嗅細胞レベルでの応答の感覚強度の低下が順応
・心理的に感覚を意識しなくなってしまった感覚強度の低下が慣れ
と理解しておきましょう。

順応のいろいろ

自己順応

自己順応(Self-adaptation)は、あるにおい物質を持続的に嗅いでいると、その匂い物質に対する感度が変化し、一般的にはにおい呈示時間に応じて減衰してゆく現象です。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

難しく説明したけど、自己順応は刺激したにおいにのみ順応し、他のにおいの感度を失っていない状態のことです。

したがって、この自己順応のことを選択的嗅覚疲労といわれる場合もあります。

臭いものを製造している工場で働いていても昼ご飯はおいしく食べれるのはこの性質のおかげだと思われます。

芳香ちゃん
芳香ちゃん

他のにおいに対しては、匂いが弱くなったとかは感じないのね

交叉順応・相互順応

交叉順応(相互順応ともいいます Cross adaptation)は自己順応とは対照的で、あるにおい物質を嗅いだ後、その物質のみならずほかの特定の物質に対しても感度が変わってしまう現象です。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

余りにも臭いものを嗅いだ後には、ちょっとやそっとのいい匂いはもしかしたら感じられなくなってしまうかもしれません。このような現象は交叉順応です。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

有名な例では、靴下の匂いのイソ吉草酸に慣れてしまうと、花のにおいを持つフェニルエチルアルコールのにおいの感じ方が弱くなってしうことが報告されています。

芳香ちゃん
芳香ちゃん

その交叉順応してしまう物質に相関性や法則性ってあるの?

Mr.Phenol
Mr.Phenol

それが未だに見いだせてないそうです…。

Mr.Phenol
Mr.Phenol

ペンタノールをずっと嗅いでいるとプロパノールを嗅いだ時に強く交叉順応を起こし、においの感じ方が弱くなりますが、逆にプロパノールを嗅いだ後にペンタノールを嗅いでも顕著には感覚の強弱が変わったとは感じられず、交叉順応が起こらないという非対称な面も報告されております。

芳香ちゃん
芳香ちゃん

つまりどんな時に起こるかは訳が分からないのが現状なんだね…

まとめ

・順応は抹消、つまり嗅細胞レベルで起こる感覚強度の低下現象である

・順応の速度はにおい物質によって異なる

・順応は嗅覚だけでなく、他の五感で起こりうる現象である

・「慣れ」は心理的、中枢レベルでの感覚の低下現象

・自己順応はそのにおい物質だけに、交叉順応はほかの物質の匂いの感じ方にも影響を及ぼす

以上です!今回から会話形式にしてみたけれどどっちのほうが分かりやすいでしょうか?次回はこの続きからやって、どんな問題が出題されているかも見ちゃいましょう!

Mr.Phenolでした!

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