さくらの香り 桜の花による香りの違いってあるの?

さくらアイキャッチ2 香り

どうもMr.Phenolです⌬! 

花見がしたいよー😭(週末(2020年3月27日現在)自粛が出てしまった県に住んでおります。)

今回は前回の続きということで、花見ができない思いをぶちまける思いでさくらの香りについて代表的なさくらを取り上げて、さらに深掘りしてみていきたいと思います。

ソメイヨシノ

ソメイヨシノ

日本人が一番馴染みがあると言っても過言ではない桜ですね⌬

2020(2021?)パラリンピックのマスコットキャラクター「ソメイティ」もこのさくらをモチーフとしております。日本でのさくらの開花宣言もソメイヨシノを対象にしておりますね。

しかしこのさくらの花を嗅いでみても実はあまり匂いがしないなぁと感じてしまうことでしょう。

それでも注意深く嗅いでいると、甘く優雅で非常に優しい香りがします。

ソメイヨシノの香りは、(株)資生堂の特許にもされている研究(出願番号:2004297495)で、ソメイヨシノの芳香に注目し、成分分析を行ったところ、一般的な他の桜で検出される成分に加えて、ジメトキシメチルベンゼン、3,5-ジメトキシベンズアルデヒド、及びメチル3,5-ジメトキシベンゾエートが検出されており、製品中にこの3つの香気成分のうち1種又は2種以上を配合することにより、従来のさくらの香りを持つ製品などとは全く異なる桜の持つやさしさやナチュラル感を再現できる芳香を有することを見出ししております。

特許によると、前回に紹介した、フェニルエチルアルコール、リナロールやベンズアルデヒドなどをベースに使用して添加することでよりさくらに近い香りとなるということです。

あまり匂いがしないとは言いつつもしっかり特徴があることが面白いですね。

ソメイヨシノの特徴的香気成分

オオシマザクラ

オオシマザクラ

オオシマザクラは先述のソメイヨシノなどの園芸品種を作り出した、さくらの基本野生種です。

白い花弁が特徴で、その香りはソメイヨシノに比べて非常に強く、クマリンを思わせる様な甘い香りと合わせて、チェリーを思わせる様なフルーティ感とスズランやラベンダーなどのフレッシュな香りを持ちます。

長谷川香料(株)の研究では、アクアスペース法による分析で他の桜では少ないリナロールが多量に検出されております。またそのほかにも、フェニルエチルアルコールやアニスアルデヒド、アニス酸メチルなどの香りも検出されています。

つまり、オオシマザクラのフレッシュなフローラルノートの香りはリナロールの香りが強く影響していて、甘くパウダリーな香りはアニスアルデヒドなどの香気成分が寄与している様です。

私は、わかりやすくいい香りがするので大好きな香りです⌬

 オオシマザクラの香気成分

ハルメキサクラ

ハルメキザクラ

お、聞いたことないさくらを紹介してきたな?とお思いになる方もいると思いますが、2000年に開発、品種改良がなされた比較的新しい種類のさくらの一つです。神奈川県南足柄市の古屋富雄氏により作出されました。

ソメイヨシノよりも色が濃く、河津桜よりも色が薄い可憐な花は、ソメイヨシノが、通年4月上旬に咲くのに対して、それよりも少し早い3月中旬から下旬に咲く様に創られており、卒業シーズンを彩ることができる様に神奈川県や南足柄市も力を入れて普及に取り組んでいるようです。

特筆すべきはその香りで、園芸種はあまり香りが少ないと言われている中で、非常に力強く甘い優雅でフローラルパウダリーな香気を持っております。

その香気成分は、アクアスペース法で検出したところ、ベンズアルデヒド、パラクレジルメチルエーテル、リナロール、安息香酸メチル、フェニルアセトアルデヒド、フェネチルアルコール、アニスアルデヒド、アニス酸メチルなどが見出されております。

これまた同じく長谷川香料(株)の研究でオオシマザクラとその香気成分を比較したところ、リナロールはオオシマザクラに比べて著しく量が少ないのに対して、ベンズアルデヒドが多く含まれていることが確認されております。

また、このさくらに特徴的なことはバニラの香気成分であるバニリンがごく少量確認されており、さらにこちらもごく少量ですが、インドールも検出されております。インドールは濃い濃度ですと糞臭を放ちますが、ごく低濃度ではジャスミンの様なフローラルパウダリーな香りを放ちます。

このことから、ハルメキザクラの強く甘い香りはバニリンが、パウダリー感はパラクレジルメチルエーテルやインドールが担ってその特徴的な力強く甘くパウダリーな香りを放っているのだと思われます。

ハルメキサクラの香気成分

以上、主要な桜の香りについてまとめると

桜の香りのベース フェニルエチルアルコール、ベンズアルデヒド、メチルベンゼン等
フレッシュ感 リナロール、ヘキサノール類 等
スイート感(甘さ) バニリン、クマリン、ラクトン類 等
パウダリー感 アニスアルデヒド、アニス酸メチル、インドール、p-クレジルメチルエーテル 等

上記の様な匂い物質で構成されているて、花によって大きくバランスが異なることがわかりました!

今年は、コロナウイルスの影響で日本人の魂そしてMr.Phenolの楽しみでもあるお花見ができる機会が例年以上に少ない(特に首都圏に関しては)のでせめて匂いだけでも思い出して楽しめればと、次回はさくらをモチーフにした香水を紹介したいと思います。

Mr.Phenolでした!

出典:https://biosciencedbc.jp/dbsearch/Patent/page/ipdl2_JPP_an_2004297495.html
        : 香料と調香の基礎知識 中島基貴編 産業図書
        : 香料No.285 Spring 日本香料協会

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