シーズンはとっくに終わってしまいましたが、秋といえばマツタケやシイタケなど好きな人も多いし嫌いな人も多いものと言ったところで、きのこですね。え?アロマ講座じゃん! 嘘つき! ⌬<イジメないで…
キノコの香りだって立派なアロマですよ!
この講座ではフレーバーもフレグランスもまとめて語っていきます⌬!!
特にマツタケはその香り高いムスクのような香りもすると言われ、日本においてキノコの王様として珍重されております。同じキノコなのに、やはりどうしてかマツタケは日本人を魅了してやまないのでしょう。(マツタケの香りは日本人以外からは好まれない香気のようですね)(最近では中国や韓国、北米などで人気が出ているそうです。)松茸問屋🍄テンスケ様情報提供ありがとうございました。
それでは早速その香気成分から探ってみましょう!
キノコの香りの正体
キノコといえば森のような、金属のようなちょっと血生臭いような香りを思い浮かべる人もいるかと思います。
そこでキノコの香りを構成する代表的なにおい物質を紹介します⌬。
C8アルコール
マツタケオール(1-オクテン-3オール)
この一見単純な構造の物質はほぼ食用のキノコには含まれており、香りを構成するキー成分として働いています。
単品の香りは鉄のような金属臭や松ヤニのような匂いとも言われます。(私は生シイタケの傘の内側のような匂いがすると思っております。(R)体と(S)体が知られており、マツタケではほぼ9:1で構成されています⌬
1-オクタノール
こちらも、炭素が8個の物質ですが、単体では油臭いオレンジのようで生のキノコのような香りがします。食用きのこに多く含まれている成分です⌬
2-オクタノール
単体ではグリーンフロラールな葉のような、でもやっぱり生の強いシイタケのような香りがします。香料としては(R),(S)はあまり区別して使用していません⌬
3-オクタノール
甘く強いハーバル感、そしてやっぱり生シイタケの傘の部分のような香気で、1オクタノールより温和な匂いがします。こちらも(R),(S)はあまり区別して使用していません。
炭素が8個あるC8系のアルコールは食用きのこに多く含まれております⌬(生の単品香料は鼻がキンキンします⌬)
テルペン
食用きのこの爽やかな森林のような香りは、このテルペン類が寄与しています。
モノテルペンではリモネン、β―ピネン、カンフェン、リナロールなどが含まれており森林のような爽やかな香りを醸し出します。セスキテルペンでもセドロールなどの木そのもののような香りも含まれております⌬。
その他含硫物質、含窒成分
硫黄成分は香ばしい香りやニンニクのような香りを含窒成分は少し生臭いような香りを醸し出します。そして、ほんの少量含まれていても強い特徴として現れます。
ここからは、それぞれのキノコに特徴的な成分を紹介します⌬
マツタケ
桂皮酸メチル(メチルシンナメート)
フルーティでバルサミック(樹脂や松ヤニのような甘いオリエンタルな香気)な香りのするにおい物質です。実際に嗅いだ感じはかなりマツタケのお吸い物に近いです。
マツタケの少し爽やか?な香りはこの成分も寄与しています。マツタケには約60成分ほどの香気成分が見出されておりますが、
(出典:yajima,T et.,al Agric Biol, Chem .,45,373(1981))、マツタケオールとこちらの2種類だけ混ぜただけでもかなり近いものを再現できるといわれております。実際はもっと複雑で産地や天候により風味は異なるので非常に難しいと思いますが。。。⌬
シイタケ
1,2,4-トリチオラン
生の椎茸では約50種類の香気成分が見出されていますが,シイタケの特徴的な香りは、1,2,4-トリチオランが寄与していると言われております。また、針葉樹培木から得たシイタケは、他の紅葉樹培木から得られたシイタケより1,2,4-トリチオランが多く含まれ、風味が良いと報告されております。
(出典:J.Shieh,M Sumitomo,Mokuzai Gakkaishi,38 1559(1992))
また、よくシイタケの香気として言われるレンチオニンは生の椎茸にはあまり含まれておらず、乾燥シイタケに含まれると言われます。
トリュフ
言わずと知れた、世界三大珍味として数えられる高級食材です。特定の樹木(ナラなど)と共生関係を持ち、根の周囲の地中から掘り出される特殊なきのこ(地下生菌)です。
黒トリュフ
ジメチルスルフィド
単品では磯のような香りです。希釈した液はちょうどのり塩ポテチのような香りがします。トリュフ特有なニンニクのような香りはこの香気成分が寄与しています⌬
アンドロステノン
前回の第1回アロマ講座でムスクににていると紹介したにおい分子です。哺乳類のフェロモンとして最初に同定された化合物で、オスブタの唾液に多く含まれ、興奮状態のメスブタがこれをかぐと交尾姿勢をとるそうです。
よくトリュフを探すのに雌の豚を使うというのにはこの成分に秘密があるのですね。ちなみに現在では豚はトリュフを食べてしまうため、訓練した犬を使います⌬⌬
マツタケの中でもムスクのような香気がすると言われるような香り高いものも、もしかしたらこれに近い物質が含まれているのかもしれませんね。(いろいろ調べてみましたが、私の能力ではそのような報告は見つかりませんでした。文献等ありましたらお知らせください🙇♀️。)
白トリュフ
2,4-ジチアペンタン
白トリュフには前述のジメチルスルフィドやアンドロステノンも含まれていますが、白トリュフにはより強いニンニク臭のある有機硫黄化合物2,4-ジチアペンタンが多く含まれています。嗅覚閾値は約0.3ppbで、30億分の1の濃度で匂いを感じ取れる程度の強さで、イタリア産の白トリュフ特有の香気成分です。トリュフオイルを人工的に作るときはオリーブオイルにこのにおい物質を少し入れ調香します⌬
シメジ
※写真はブナシメジ
かおりマツタケ味シメジのシメジですが、他の紹介したキノコのようにシメジのみに含まれている特徴的な香気成分はありません。また、シイタケで報告されているようなレンチオニンや1,2,4-トリチオランなどの含硫成分も見つかっていません。におい的にはやっぱり松茸には完敗ですが、その分歯応えや旨味成分で勝負しているのでしょう!また、我々が普段目にしているシメジはブナシメジであり本来のシメジはホンシメジで、分類学上も全くの別物です。混同しないように注意しましょう。
各きのこの特徴的な成分のみ紹介しました。
そんなキノコのような香りも意外と香水に使われることもあります。
CHANEL NO.5
知らない人の方が少ない超有名な香水ですね⌬
この香水の香気は業界用語でALDEHYDIC(アルデハイディック)と表現される香料を巧みに組み合わせて使われます。オクタノールは分子のグループとしては[アルデヒド]ではないですが、香気としてはALDEHYDICという表現がよく使われます。
TOP | ネロリ・レモン・ベルガモット・アルデハイド |
MIDDLE | ジャスミン・ローズ・イランイラン・アイリス・ミュゲ |
LAST | サンダルウッド・セダーウッド・バニラ・ベチバー・アンバー・ムスク・シベット |
非常に深く長い歴史があるので、wikipediaに投げます(笑)。
話は変わりますが、オクタノールとオクタナールというにおい物質は官能基が水酸基とアルデヒド基の違いだけのよく似た化学構造ですが、その香りはまるで違います。
例えていうなら、キノコとオレンジぐらい違うのです。(実際にオクタナールはCITRUSという香りの表現をします。)キノコのにおいは感じられませんが、トップノートにオクタナールとずばり表現された香水を紹介します。
MIRKO BUFFINI FIRENZE オードパルファムKI【キ/気】
TOP | オクタナール・ベルガモット・オレンジ・ピンクペッパー・セサミ |
MIDDLE | バラ・マグノリア・ココナッツ・クローブ・シナモン |
LAST | ムスク・バニラ・アンバー |
目を冷まさせるようなピンクペッパーのようなフルーティなスパイシーさと、シトラスや森林のようなオクタナールの香りから始まり、ミドルからラストにかけてはフローラルノート、そして甘いお菓子のようなバニラやムスクに変わってゆく・・・。
香水の紹介に謳われている通り「夜が待ち遠しい香り」なのでしょう。詳しくはリンクから!
ディメーター マッシュルーム EDC・SP
最後にキノコそのものを銘打った香水を紹介します。
香りディメーター・フレグランス・ライブラリーは、ギリシャ神話の大地の女神の名前にちなんだブランド名で、日常のささいな香りや匂いから、定番の香りまで、古今東西あらゆるテーマで作品を作りつづけております。
ジョークに近いアイテムもありますが(この香水がそうですね笑)、いたってまじめに作っているそうです。
この香水は公式サイトには載っていなく、Amazonではもう手に入らないため、終売の可能性があります。
ですので実は貴重な香水かもしれません。(売れなかっただけかもしれませんが…⌬)
キノコ好きなあなた!今がチャンスですよ⌬⌬笑!
価格:2,933円 |
Twitterなどで逐次ネタを募集いたしますのでぜひご意見お寄せください⌬!
ではまた次回よろしくお願いします⌬!
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